遺産分割について争いが続いているのですが、遺産の一部の不動産について良い買主が現れ、売って代金を分けようということについては意見が一致しました。後のトラブルを防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?
- 2021.10.13
Q:遺産分割について争いが続いているのですが、遺産の一部の不動産について良い買主が現れ、売って代金を分けようということについては意見が一致しました。後のトラブルを防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?
A:遺産分割について協議や調停を続けている際、遺産の一部の不動産について良い買主が現れることがあります。遺産の全部について遺産分割が成立するのを待っていたのでは売り時を逃してしまう…。
弁護士の解説
そのような場合、その不動産をその買主にその価格で売却することについて相続人全員の意見が一致するのであれば、その不動産に限定した遺産の一部分割の協議や調停を成立させて売却することが可能です。遺産の一部分割は、以前から行われてきていましたが、令和3年4月の民法改正で民法第907条に明文化されました。実際に遺産の一部分割を行って不動産を売却する際には、後でのトラブルを防ぐため、次のような点について事前に合意書を作成したり一部分割の協議書や調停調書の条項に入れておいた方がよいでしょう。
①代金をどのように分けるのか、費用はどのように負担するのか。
②売買契約締結後に非協力的な相続人が出てくると、買主から契約解除、損害賠償等の請求を受けることになるので、そのような場合、原因を作った相続人が責任を取ること。
なお、合意書や協議書の作成や調停調書の条項の検討は、専門家でないと難しいですし、その後の売却手続をスムーズに行うためにも、信頼できる弁護士を早めに依頼するのが肝心です。