遺産である不動産の評価について納得ができません。どうしたらいいでしょうか?
- 2022.03.17
Q:遺産である不動産の評価について納得ができません。どうしたらいいでしょうか?
A:不動産の評価額には、①「固定資産税評価額」、②「路線価(相続税評価額)」、③「公示地価」、④「実勢価格(時価)」があり、それぞれ金額が違います。
弁護士の解説
①~③については金額が一義的に定まる点にメリットがありますが、一般的には時価よりも低い金額になりがちです。一方、④の時価については、査定によって金額に幅が出てきてしまい一義的に定まらないというデメリットがあります。
そのため、遺産である不動産の評価額について相続人間で争いになった場合、費用をかけて不動産鑑定士に時価の鑑定を依頼しても、その金額が唯一絶対のものではないため、相続人全員がその金額で納得するとは限りません。そして、相続人間で不動産の評価について争いになり調停や審判でも合意できないときは、最終的には裁判所が選任した不動産鑑定士によって評価額が決定されることになります。(しかも、鑑定費用は当事者負担です。)このように、不動産の評価額について争いを続けていても、時間と費用がかかるばかりで、最終的に満足な結果が得られるとも限りません。
したがって、不動産の評価額については、①~③のいずれかの金額とすることで合意するのが一番現実的だというべきでしょう。また、これらの金額があまりにも市場価格と乖離していると思われるときは、数社の不動産業者に簡易査定してもらうといいでしょう。現地を見分した精密な鑑定とは違い机上の査定ですが、たいていは無料で査定してもらえます。実務的には、②の相続税評価額を基本としつつ、複数の簡易査定の結果を加味して不動産の評価額について合意を図ることが多いようです。