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【弁護士コラム】特別受益や寄与分の主張に期間制限

2021.08.28

 所有者不明土地の発生予防等を目的として2021年4月に行われた民法、不動産登記法等の改正(明治以来の民法物権編の大改正といわれることもありますので、以下では物権法大改正と略します。)の後、遺産分割に10年の期間制限とのマスコミ報道を見受けたことがありました。この報道で、相続開始から10年経過すると不動産も預貯金もすべて機械的に法定相続分で分割されてしまうと思った人もいるかもしれません。

 しかし、それは間違いで、正確には、相続開始から10年を経過したときは、遺産分割の際に特別受益や寄与分の主張できなくなり、それらを考慮しない法定相続分で遺産分割を行うという改正が行われたのです。特別受益や寄与分は考慮されなくなりますが、誰が何を取得するかは、改正前と同様に民法第906条のとおり遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して決定されることになります。農家であれば、農業を継いだ相続人は農地を、他の相続人は他の遺産を取得することになりますが、取得割合が特別受益や寄与分を考慮しない法定相続分になってしまうということなのです。

 このような改正が行われたのは、特別受益や寄与分は相続人の公平を図ることを目的とした制度ですが、相続開始してから長期間経過した後にそのような主張が行われると、証拠等が散逸していて解決までに時間を要することになるため、遺産分割の長期未了状態の解消を促進することを目的としてなのです。

 この改正の施行日(適用となる日)は、正式には決まっていませんが、公布から2年以内とされているため、2023年4月1日頃ではないかと言われております。

 この改正が施行されると、被相続人に貢献した相続人は寄与分を主張できなくなり、これまでのように寄与した分を多く相続することができなくなります。また、他の相続人の特別受益を主張できなくなり、特別受益がある相続人の相続分を減らして自己の相続分を増やすことができなくなります。ですから、自分の寄与分、他の相続人の特別受益を主張しようとしている相続人は、早めに遺産分割調停を申立しておくことが必要となります。

 施行はまだ先ですが、ご心配な方は早めに当事務所までご相談戴ければと思います。

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