遺留分侵害額請求を行使して不動産や預貯金等を取得できた事例
- 2023.02.21
依頼者属性
男性 30代
ご相談の背景・争点
依頼者の父が亡くなりました。その後しばらくしてから、すべての遺産を妹に相続させる、という内容の公正証書遺言が作成されていることがわかりました。そこで、何らかの権利主張をすることができないか、ということで当事務所にご相談いただきました。
弁護士の対応・結果
公正証書遺言の効力自体を争うことは難しい事案でしたが、遺留分侵害額請求を行うことが考えられました。そこで、受任後、妹に、遺留分侵害額請求を行う旨の通知を内容証明郵便で発送しました。また、これと並行して、不動産や預貯金等の遺産の調査を行いました。依頼者と妹とは関係があまり良好ではなく、直接の協議による解決は困難であると思われたことから、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停を申し立てました。依頼者としては、農地と預貯金の取得を希望していましたが、最終的には、遺留分侵害額に相当する金額の農地と預貯金を取得する内容で調停が成立しました。
担当弁護士の所感
被相続人が有効な遺言書を作成していた場合、原則として、遺言書に書かれている内容で遺産の分割が行われます。もっとも、遺言書により遺留分(被相続人の配偶者、子、直系尊属に認められる、いわば最低保障額)を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することにより、遺留分に相当する金銭を請求することができます。ただし、遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害されたことを知った日(遺言書の内容を知った日等)から1年以内に行使しなければ、消滅してしまい、以後は権利行使ができなくなってしまいます。ですので、納得できない遺言がなされていたことを知った場合には、早めに弁護士に相談されることをお勧め致します。